眼鏡はかけたり外したりすると目が悪くなる?

 これはまったく根拠がない話です。眼鏡はかけたい時にかけ、外したい時に外してください。
ただし、眼鏡を外している間ははっきり見えませんよ(当たり前だけど、意外にわかっておられない方が多いようです)。

 眼鏡をかけると近視が進行するんでしょ?

 これもまったく関係ありませんね。ただこのように解釈されるのは理由があります。
 近視は眼鏡に関係無しに勝手に進行しているのですが、眼鏡をかけていない頃だと最初から「ぼー」とした見え方ですので、多少進行しても見え方はあまり変化がないのです。ところが、いったん眼鏡を使用しますとよく見えますので、少しでも近視が進行するとすぐに「見えにくくなった」と気が付くわけです。そのため眼鏡をかけると進行しやすいと感じられている方が多いのですが、本当はかけていなくても同じだけ進行しているので、ご自身で自覚されているかどうかの違いだけなんですね。
 おおむね、体の成長時期(中学生)には近視が進行しやすいようで、1年に3回も度数を交換された中学生もおられます。

 視力1.2に合わせて眼鏡を作って下さい。

 眼鏡処方の手順は、まずその眼がどの程度の近視/遠視なのかを器械で測定しておよその度数を設定します。実際にその度数を入れた眼鏡を掛けていただくわけですが、必ずしもその度数がその方に合ってるとは限りません。度数がきつすぎてかけづらいこともありますので、最も見やすくまたかけやすい度数を試行錯誤で探していくわけです。そのようにして決まった度数がその方にとって最もふさわしい度数になるのですが、その度数をかけて視力がいくらになるかは個人によって大きく異なります。即ち、最もふさわしい度数をかけて1.5まで見える方もあれば、0.8までしか見えない方もあるわけでして、視力はあくまでも「結果」なのです。視力を「最終目標」として度数を決めるわけではないのです。
 よって眼鏡処方の際に「視力○○に合わせて欲しい」と仰る患者さんには、「あなたにとって最もふさわしい度数を合わせてみるが果たしてそれでどのくらいの視力になるかはわからない」とお答えしています。

 月に免許の更新があるので、もっときつい眼鏡を合わせてください。
 この方の場合、勘違いされている可能性が2つあります。

1.眼鏡の度数というのは、単にきつくすれば良く見えるわけではありません。これについては上記の「視力1.2に合わせて眼鏡を作って下さい」も参考にして下さい。今すでに持っておられる眼鏡は度数がばっちり合っている可能性があります。

2.見えにくい原因は、眼鏡ではなくて眼のほうにあるかもしれません。中年以降の場合は白内障、緑内障、糖尿病が主な原因です。若い方の場合は白内障、脳疾患のこともあります。これらの場合はいくら眼鏡を替えても視力はまったく改善しません。そればかりか手遅れになってしまう場合もありますから、眼鏡屋さんにいく前に必ず眼科を受診してくださいね。

 近視で見えにくくなってきました。眼鏡はカッコ悪いのでコンタクトにしたいと思います。

 これはいけません。最初が肝心ですから必ず眼鏡をまず最初に作って下さい。「角膜内皮障害」に詳しく書きましたが、コンタクトレンズばかり使ってると角膜(くろめ)が傷んでしまいます。コンタクトを外してから寝るまでの時間が角膜にとっての唯一の休息時間ですが、眼鏡を持っていないと寝る直前までコンタクトをつけてしまいます(コンタクト外すと見えないですからね)。すると角膜の休息時間は毎日ほんの1時間くらいになってしまいますので、いろんな障害が出やすくなってしまいます。また長年コンタクトばかりで生活してきた方がいきなり眼鏡をかけようとしても、見え方がコンタクトとかなり異なるため眼鏡に慣れるまで時間がかかります。若い方はコンタクトの無茶な付け方をしても影響が出にくいのですが、40才になったときにその習慣の積み重ねがしっぺ返しとして自分自身に返ってきます。
 よって、まず眼鏡に慣れてからコンタクトを考えるようにして下さい。コンタクトを始めてからでも「帰宅したら眼鏡に替える」という習慣を付け、角膜に休息を充分与えるよう心掛けてください。

 コンタクトレンズの方が眼鏡に比べて近視が進みにくいそうですね

 「眼鏡をかけると近視が進行するんでしょ?」に書いたとおり、近視の進行と眼鏡はまったく関係ありません。これはコンタクトレンズについても同じ事が言えますので、どちらを使うにしても近視が進むときは進むし、進まないときは進みません。

 コンタクト(CL)がずれてしまいました。目の裏側までずれたらどうしよう?

 それは大変!って思っておられる方が多いですが、絶対に眼球の裏側まで回ることはありません。外から見てせいぜい眼球の半分位のところまでで止まります。これは眼球の構造がその部分で袋小路のようになっているためで、落ち着いて探せば(誰かに探してもらえば)必ず見つかります。上の瞼の奥深くに入った場合には、瞼を翻転(ひっくり返す)することが必要になりますので慣れない方には難しいかもしれません。ただし、「CLが取れない」といって受診される方の半分くらいは、すでにCLがなくなってしまっている事も多いです。無い袖は振れませんから諦めて下さいね。

 コンタクトつけてるときの充血は市販の目薬で良くなりますか?

 コンタクトのうち、特にハードレンズをつけると充血しやすいようです。もともと充血する原因としましては、
  まだレンズに慣れていない初心者
  レンズカーブが合わずにゴロゴロ感を感じる場合
  レンズが古くなったための酸素不足
  角膜(くろめ)に傷が入った場合
などがあります。これらの場合、どんな市販の目薬を使用しても原因は解決されませんので使用しないでください。また目は充血する(=血管を拡張させる)ことによって、より多くの血液を循環させて少しでも状況を良くしようとがんばっているわけです。これは目にとって必要なことと考える方が良いでしょう。
 市販の目薬で「充血を取る」ことが目的のものがあります。この目薬の効く原理は、もちろん充血の原因自体を取り除くことではなく、単に血管を収縮させることによって見た目だけ治ったようにみせることです。よって点眼してから時間が経ってくると再び充血してきます。また習慣的に点眼しますと、効果が切れて来たときには点眼する前よりも更に充血がひどくなる場合があります(リバウンド現象)。目は充血することによってバランスを取ろうとしているので、原因がなくならないのに充血だけなくなると逆に目にとってつらい状態になってしまいます。こういった目薬をあまり使わないようにして下さいね。
 最も大事なことは、眼科を受診してその原因を確かめ適切な治療を行うことです。

 眼鏡に比べてコンタクトは良く見えるので朝から晩までつけてます
 これは止めてください。酸素透過性のレンズであってもやはり角膜には十分な酸素が届かず、慢性の酸素不足状態が続いています。(「近視で見えにくくなってきました。眼鏡はカッコ悪いのでコンタクトにしたいと思います。」を参考にしてください。)角膜に少しでも多くの酸素を届けるためには、帰宅したらすぐ眼鏡に切り替える習慣を付けましょう。当院では「毎日6時間を目標に眼鏡を掛けてください」と指導しております。コンタクトを始めて20年も経ちますと、この習慣の有無が角膜の状態に大きな差が出てきます。今日からでも遅くありませんから、必ず眼鏡を掛けることを忘れないでください。

 つけはずしが面倒なので、1週間連続装用のコンタクトが便利で良いですね?

 角膜(くろめ)は常に酸素を呼吸しています。ふだん目を開けているときは大気中の酸素に接しているので直接酸素を取り入れることができます。では夜間はどうでしょうか?この場合、目を閉じているので角膜に接しているのは大気ではなく瞼の裏側になりますね。ここには毛細血管が多く、血管から滲み出してくる酸素を角膜が受け取っているのです。もちろん大気から直接に取り入れる方法に比べて効率がかなり落ちますので、昼間に比べて酸素不足に陥りやすい環境と言えましょう。
 よって条件の悪い就寝中にさらにコンタクトを装用すると言うことは、たとえそれがどんなに優れたコンタクトであっても、角膜(くろめ)にとっては窒息に近い非常に辛い状況になっています。これまでコンタクトをつけたまま眠ってしまって翌日痛い目にあった方も多いと思いますが、角膜のためには必ずコンタクトを外して眠るようにしましょう。
 使い捨てレンズが普及し始めた頃には、この「1週間連続装用」のタイプしかなくて製造メーカーの「つけたまま寝ても安全である」という宣伝を信用して当院でも処方しておりましたが、他のレンズに比べてやはりトラブルが多く発生しました。現在当院ではすでにこのタイプは処方しておりません。手間が省けて無精できる分だけ、影で角膜が泣いているレンズ・・だと思います。

 うちの子供が近視ですが、眼鏡をかけさせるのは可哀想なのでこのまま様子を見たいのですが?

 子供さんが学校の視力検査でひっかかり、初めて眼科に来られるお母さん方の約8割くらいはこのように考えておられます。でもよく考えて下さいね、子供さんにとって本当の幸せを。私は「眼鏡をかけさせるのが可哀想」なのではなく、「かけさせないほうが可哀想」と考えています。というのも感受性の最も強い子供時代に、きれいな景色や友達の顔がはっきり見えないなんて絶対に人生の損失だと思います。かくいう私も小学4年生から眼鏡をかけています。私は眼鏡を初めてかけたその日の夜、「夜空にはこんなに多くの星が光っていたのか!!」ととても感動したことを今でも覚えています。
 またお母さんが「眼鏡は見た目がカッコ悪い」とか「○○ちゃんは眼鏡かけて可哀想にね」という態度を取っていると、いつのまにか子供さんも「眼鏡をかけるのは良くないことなんだ」と洗脳されてしまいます。心と体の健やかな発達のためにも眼鏡を毛嫌いしないで下さいね。
 具体的な眼鏡をかける時期については、子供さんがテレビをご覧になっている時に目を細めておられることがあれば眼鏡を作る時期が来たと判断されたらいかがでしょうか。

 スポーツするには眼鏡は危ないですよね?

 皆さんが一番心配しておられることは「ボールが当たって眼鏡が壊れたときに、そのレンズの破片で目にケガをするのではないか」ということですね?私は眼科医になってすでに十数年になりますが、これまで眼鏡のガラスで実際にケガをした患者さんは、ほんの数人しか診たことがありません。またこれらの患者さんはケガといってもホンのかすり傷ですので必ず数日で治ってしまいますので、眼鏡によるケガはほとんど無視していただいて結構です。
 ところがもっと怖いのは眼鏡をかけてない目に直接ボールが当たることなんです。眼鏡が壊れるくらいの衝撃がそのまま眼球に加えられたとしたらどうなると思われますか?眼球自体が裂けてしまうのです!こうなると手術が必要なのはもちろん、元の視力まで回復することさえ難しくなります。眼鏡をかけていれば、それが壊れることによって衝撃のエネルギーを吸収してくれますので、眼球に対する障害がずっと小さくなります。もしスポーツで眼鏡が壊れたとしたら、「ありがとう」と眼鏡にお礼を言って上げて下さい。
 ということで、すべての球技で眼鏡(視力に関わらず)を使用されることをお勧めいたします。

 水泳の時にはゴーグル(水中眼鏡)を使いたいのですが。

 もちろん使って下さい。理由は2つあります。
 まず「O-157大腸菌」問題以降、塩素濃度が高めになっているプールが多いようです。この塩素は細菌を殺すために必要なものですが、人体にも影響を及ぼします。人体のうち皮膚はもともと強くできていますので、アトピー等で傷がない限りそれほど影響はありません。ところが角膜(くろめ)や結膜(しろめ)はとても弱いもので消毒液によりすぐ傷が付いてしまいます。実際にプールで泳いだ後で診察にこられた子供さんではかなりの高率で傷がみつかります(ただし自覚症状がない場合もあります)。「目薬はたくさん入れるほど良く効く」に書いたように数滴の目薬でさえ目に障害を及ぼすのですから、1時間プールで泳げば眼球を薬品の中に1時間浸しておいたことになってしまい、目薬よりはるかに障害が大きくなることが予想されます。「じゃ、泳いだ後で洗眼すればいいんでしょ?」と考える方もおられるでしょうが、そんなに甘くはありません。もともと目の表面は皮膚に比べて薬物の吸収が非常に速く(それで目薬が効くわけですね)、接触してから数分で眼球の内部に取り込まれていきます。そのため泳いだ後に洗眼してもすでに塩素は吸収されていますので焼け石に水と言えましょう。
 2番目に、ゴーグルなしでは水中ではっきりと物が見えません。水中では「屈折率」といって光の進み方が空気中とずいぶん変化しますが、人間の目は空気の中で見えるように設計されているためです。そこでゴーグルによって目の前に空気の層を確保してやれば水中でもよく見えるようになります。また近視等で教室では眼鏡を使用されている方が、眼鏡を外せば不自由になるのは当たり前です。最近では度付きのゴーグルも市販されていますので、それを使用することによりプールでも良好な視力が確保され安全かつ快適に泳ぐことが出来るでしょう。