アジア杯韓国戦の講評

予選からアジアカップの試合はチラ見だけしていたが、イマイチ面白くなかった。しかし昨日の韓国戦は出来は良くなかったものの面白かったので取り上げてみよう。

まず良かった場面。何と言っても流れの中で作り上げられた完璧な得点。まず左サイドで本田(黄矢印)がドリブル突破を試みる。そのとき後方から長い距離を走ってきた長友(青矢印)が視界に入る。このときの本田と韓国DF(赤矢印)の距離に注目。

本田は長友が上がってくる時間を稼ぐため、一瞬ドリブルをやめて立ち止まる。並走していた韓国DFが行き過ぎて距離が離れてしまったことでも本田が急に止まったことがわかる。これによりさらに後ろの2人のDFも本田に近寄ったため、長友の前には大きなスペースが出来上がった。

そして長友がちょうど走り込んできたタイミングに合わせて本田がパス。これは本田の素晴らしいプレーだ。

広大なスペースを使ってどんどんドリブルで切り込んでいく長友。自分で打つぞ!という気迫満々である。

たまらずに韓国センターバックが長友の対応に走っていき、スライディングタックルを掛けてきたその瞬間に前田へパス。相手をギリギリまで引きつけてからパスを出すのはとても大事なことで、長友が打つ気満々の雰囲気を持っていたからこそ韓国センターバックが出てくることになった。そのおかげで先ほどセンターバックがいた場所がぽっかりと空いて日本にとっての攻撃スペースに変わった瞬間だ。そして前田が詰めて美しいゴールに繋がった。これだけ理想的なゴールも珍しい(^^;)

さて次は悪かった場面。延長後半終了間際の韓国FKである。

左後方から飛んできたFKを韓国FWがヘッドで落とす。

こぼれたボールは密集地帯へ転がるが、タックルに行った日本DFはキックフェイントでかわされてしまう。ただし問題はこのDFではない。よく見るとGK川島の前に2人の日本DFがいる。 「J」と書いてるのは「ジャパン」ではなく「邪魔」のJである(笑) オジャマムシ1号、2号は自分では守っているつもりかもしれないがまったく役に立って無いどころか、GKの視野と行動範囲を狭めて邪魔以外の何者でもない。これくらい狭い範囲でのプレーとなるとほとんどフットサルの世界だ。私が愛読してるフットサルの教科書に寄れば、「ゴール前では、最後方のDFは相手FWよりも後ろにいるな。GKの邪魔になるだけである」と書いてある。

また川島の後方にも日本DFが1人いるが、いちお目の前に韓国DFがいるので一概には邪魔とはいえないだろう。

そしてボールは中央の韓国FWに渡り、ようやく目が覚めたオジャマムシ1号が対応に走る。2号は相変わらずオジャマムシだ。ただ川島の後方にいたDFはいつのまにかゴールライン上に立っていてとうとうオジャマムシ化してしまった。GKが取れなかったボールを「あわや!」という瞬間にDFがゴールライン上で蹴り出す!という奇跡的な場面をDFは夢見るものだが、まずそんな奇跡は起こらない。私がいつもそれをやってるから間違いない(笑)やはりGKが取れなかった時点でアウトなのである。オジャマムシ選手は、フリーになってる韓国選手をもっと前方でマークするべきだったのだ。上記の写真では、まだシュートを打ってないのに後ろの韓国選手は得点を確信してバンザイしてるし(^^;)

そして見事に決められ同点とされてしまう。やはり後方オジャマムシには奇跡の神が降りてこなかったようだ(^^;) PK戦で川島が神がかり的なファインセーブを決めたから勝てたものの、こんな守備をしているようではオーストラリア戦はとても不安だ。これまで日本代表が言われていた「決定力不足」という言葉は今大会ではあまり聞かれなくなった。その代わりに守備のほころびが目立つようになってしまった。なんとか土曜日までにもう一度守備システムを確立して欲しいものである。